ログが公開される前。 さらに、戦闘結果が発表される前。 自分を含めた外野の人々は、赤が有利だ、と言っていたがけしてそんなことは無かった。 圧倒的に、白が有利だったのだ。 えぬえむが2ターン目に空言を使ったのは、勝利を確信していたからである。 結果として、それが裏目に出てしまったが、白はそこまで赤を圧倒していた。 本来ならば穴熊など無意味で、指は死んでいたはずなのだ。 赤は能力が活かせた能力はワープだけ。どう考えても赤は不利だった。 それなのに、何故赤有利と思ったのか。 指である。指の無限反射七連という、ありえないスペックが我々にマスクをかけたのだ。 マップで遅延起動が容易い環境下、指は最強のユニットに見えた・・・実際はえぬえむのほうが強力なユニットであったが。 赤VS白、という構図を縮小すれば、指VSえぬえむ、と言えるかもしれない戦いであった。 結果としては赤の勝利。 しかし、戦いは15ターンも続いていた。 これが何を意味するのか・・・それほどまでに、戦況は拮抗していたのだ。 互いのチームが考えられる最善の手を打ってきた。 行動宣言が明らかになり、互いの思考ログが公開された今となってはそれが十分にわかる。 いくつかの勝敗の分かれ目があった。 一つは2ターン目。 白が確実と思われた勝機を失った瞬間。 もしあのとき、と思わずにはいられないが、それはもう過ぎたことである。 白は、絶望的に見えても勝負を捨てる気はなかった。 次のターンにはすでに思考を、作戦を切り替えていたのだ。容易くそんなことが出来ようか。 英断であった。操縦者の知られていない能力、虚像を使い、判定に持ち込む。 あわよくば、相手を絶望させ、投了させる。 間違いなく、立派な、讃えられる戦略であった。 もう一つは、5ターン目以降から壁が完成するまで。 何度も言うがハリボテと解かっているから、今はもう脅威ではないのだ。 戦闘中、あの次々と出現するオブジェクト達はどれだけ赤チームを苦しめたのか。 想像はできるが、実感は難しい。 主催者のポーンさんを糾弾しそうになるほど、内実、チーム赤は混乱状態だった。 多くの人が理不尽に思っただろう。未公開仕様はかくも、えげつないものかと。 投了は十分にありえた。 それでも最後まで慎重に行動し、赤は戦った。その末の勝利である。 私はこのゾーンプレスの戦闘が奇跡的なものだと思っている。 感動せずにはいられなかった。 果たしてこれだけ不可解で、良い意味でも悪い意味でも先が読めず、勝敗が見えない戦いがかつてあっただろうか。 そもそもマップ形式でユニットを戦わせようと言う発想が、ここまで機能したこと自体、奇跡だ。 それと参加者の良心。誰一人として闘志を捨てず、最後まで戦った。 彼らの持つ良心と心意気を私は讃えずにはいられない。 ゾーンプレスは、ポーンさんだけでなく、プレイヤーたちの手によってもデザインされたゲームだと私は信じている。 ある意味、イベントゲームとしては理想的な形なのではないだろうか。 もっともゾーンプレスは、一般的、汎用的という意味からは大きく外れるかもしれないが。 私がこのゾーンプレスのログを見て感じたことは他にも色々あったが、書くと段々チープになっていくのでこのあたりでやめておく。 最後に、参加者の皆様、ポーンさん、お疲れ様でした。 まとめを作ってて心底楽しかったです。本当に面白い試合でした。 htmlで作る際にBGMに平沢師匠の曲がなければ私は途中で死んでいた。